ペナントはトレンドが発生したあとの一時的な休止状態で、相場の勢いが続く可能性の高いことを示唆するチャート形状です。
本記事ではチャートパターンの1種であるペナントの特徴や、ペナントを利用したトレード手法について解説しているので、トレードの参考にして頂ければ幸いです。
FXのペナントとは？
ペナントは、トレンド継続型のチャートパターンで、三角形を形成するのが特徴です。
ペナントは上記の画像のように、フラッグポールと呼ばれる大きな上昇（下降）からはじまるのが特徴です。
高値と安値の幅が徐々に縮まってきて、ペナントのような形状になることからペナントと呼ばれています。
特定の方向に傾かずにペナントを形成していき、一般的には直前のトレンドが継続することが多いです。
FXのペナントのメカニズム
上昇トレンド（下降トレンド）の途中で、徐々に反対側の勢力が強まってくることで、ペナントが形成されはじめます。
高値（安値）を更新できずに、上下の値幅が小さくなっていくのは、含み益が膨らんできて利益確定する人が出てきて上昇（下降）しにくくなるからです。
ペナントはトレンド継続型のチャートパターンなので、上昇トレンドの場合は、高い確率で上にブレイクアウトして大きく上昇します。
| ブレイクアウトとは一定の範囲での価格推移の後に、高値か安値を更新すること。 |
ブレイクアウトをした後に大きな動きになりやすいのは、上記の画像のように、
- ペナントのレンジ上限付近で入れた売りポジションの損切り（買い）
- ブレイクアウトを見たトレーダー達の新規買い
の2つの買いが多く入るからです。
上昇ペナント
上昇トレンドの途中で発生し、上向きの値動きの大きなフラッグポールからはじまります。
ペナントを上にブレイクアウトすることが多く、ブレイクアウト後は大きく上昇することが多いです。
下降ペナント
下降トレンドの途中で発生し、下向きの値動きの大きなフラッグポールからはじまります。
ペナントを下にブレイクアウトすることが多く、ブレイクアウト後は大きく下落することが多いです。
FXのペナントと類似チャートパターンとの違いを解説
ペナントの類似チャートパターンである
- トライアングル（三角保ち合い）
- フラッグ
- ウェッジ
3つのペナントとの違いを解説します。
FXのペナントとトライアングルの違い
ペナントは必ず値動きの大きなフラッグポールからはじまります。
ペナントは、保ち合い局面に入る前に急激な上昇か下降のフラッグポールからはじまります。
| 保ち合いとは大きなトレンドが発生せずに、小さな値動きで推移する展開 |
ただし、ペナントはトレンドで出現するので、日足や週足などの上位足でチャートを見た時にフラッグポールと逆向きのトレンドだった場合は、トライアングルの可能性が高いです。
ペナントは一般的にトライアングルよりも短期間で形成され、1〜3週間でブレイクアウトをして終了します。
FXのペナントとフラッグの違い
フラッグは、ペナントと同じでトレンド継続することが多いチャートパターンです。
フラッグはペナントと同様にトレンド継続を示唆するチャートパターンで、値動きの大きなフラッグポールからはじまります。
1つ違いを挙げるとすれば、保ち合い局面の時に直前のトレンドと反対方向に切り上げ（切り下げ）ながら一定の値幅で推移して、フラッグ（国旗）のような形状になることです。
ペナントよりも出現頻度が低いため、無理に探そうとしてもなかなか見つからない可能性があります。
FXのペナントとウェッジの違い
ウェッジは基本的に上昇（下降）した方向と逆方向にブレイクすることが多いです。
なぜなら、たとえば上昇ウェッジの場合は安値を急角度で切り上げるのに対し、高値の切り上げ方が緩やかで買い方がいずれ力尽きやすいチャートパターンだからです。
ウェッジはペナントと同様に保ち合い局面で三角形を形成しますが、以下のように異なる点が3つあります。
- 三角形の頂点が形成されるまでの期間が長い（数週間から数か月）
- 高値と安値の両方とも切り上げ（切り下げ）ながら三角形を形成する
- 切り上げ（切り下げ）た方向と逆方向にブレイクアウトする可能性が高い
高値と安値を両方とも切り上げ（切り下げ）ながら形成しているか注意深く見極めて、ブレイクアウトしやすい方向を間違えないようにしましょう。
FXのペナントを用いた有効な手法
FXのペナントを用いた有効な手法としては
- ブレイクアウト後の順張り
- ペナントレンジ内の逆張り
の2種類があります。
それぞれ見ていきましょう。
| 順張りとは多くの買い（売り）が集まってチャートが上昇（下落）基調の時に、買い（売り）を入れるスタンスのこと多少タイミングを間違えても、利益になりやすいことから、投資初心者にもおすすめの手法 |
| 逆張りとはトレンドの流れに逆らって上昇している時は売り、下落している時は買いを入れるスタンスのことです。タイミングよくエントリーしないと利益につながらないことから、中級者以上向けの手法 |
ブレイクアウト後の順張り
ペナントのメカニズムでも説明したように、ブレイクアウト後はトレンドフォローの新規買いとレンジ逆張りの損切りが重なることで、大きな動きになりやすいです。
ペナントのブレイクアウト後の順張りトレードをする場合は、損切りの場所をペナントに戻った辺りに設定すれば、損失幅を小さく、大きな利益を狙えるので、リスクリワードのいいトレードができます。
| リスクリワードとはトレードにおけるリスク（損失の可能性）と、リワード（利益の可能性）の比率 |
また、ペナントの期間が長くて反発回数が多いほど、ブレイクアウト後の損切り注文がたまるので、勢いよく上昇（下降）しやすいです。
ブレイクアウト後の順張りは、エントリーポイントがわかりやすく、リスクリワードのいいトレードができることから、FX初心者にもおすすめの手法です。
ペナントのレンジ内での逆張り
ペナントをブレイクアウトするまでの一時的な戦略ですが、ペナントの上限と下限付近からの逆張りも有効な戦略です。
ペナントの上限と下限付近からエントリーすればリスクを最小限に抑えられるものの、狙えるリワードがペナントの他端までなので、状況によってはリスクリワードのいい取引は難しいです。
取引チャンスが多いものの、反発回数が多いほど値幅が小さくなってきて、狙えるリワードも減ってきます。
先ほど紹介したブレイクアウトに比べると、やや中級者〜上級者向けの手法かもしれません。
FXのペナントを用いたトレードでダマシにあう確率を下げる4つのコツ
ダマシとは、チャートパターンで本来動く方向とは逆に動くことをさし、トレードをする以上はダマシを100％避けることはできません。
FXのペナントを根拠としたトレードで、少しでもダマシにあう確率を下げる4つのコツを紹介します。
コツ① 終値ベースでブレイクアウトを確認してからトレードする
※日足ベースのドル円チャート
上記の画像はドル円の日足チャートでペナントが発生した部分を切り取ったものです。
ペナントをブレイクアウトした直後に取引を開始すれば、エントリーの位置をブレイクポイント付近にできるため、リスクリワードのいい取引ができます。
しかし、上記の画像のようにペナントを一時的にブレイクしたとしても、再びペナント内に戻ってしまうことも多いです。
日足など比較的長い時間軸の終値ベースでブレイクアウトを確認してからエントリーをすれば、ダマシにあう確率を下げられるでしょう。
終値までにブレイクポイントとの距離が大きくできた場合は、リスクリワードを考慮してエントリーを見送ることも視野に入れる必要がありますが、ダマシを避けたい場合は終値まで待つのがおすすめです。
コツ② 上位足の移動平均線の向きを確認してトレードする
ペナントのブレイクアウト後の取引をする前に、上位足の移動平均線の向きがブレイクアウトした方向と同じか確認して、大局的なトレンドを意識しましょう。
なぜなら、上記の画像のように短い時間軸で見た時にはトレンドが発生しているように見えても、上位の時間軸で見た時はトレンドが逆の場合があるからです。
そのため、マルチタイムフレーム分析によって、さまざまな時間軸で見てもブレイクアウトした方向と、1時間足や4時間足などの上位足が同方向であることを確認することが大切です。
| マルチタイムフレーム分析とは日足などの上位足から4時間足、一時間足などの複数の時間軸でチャート分析をすることで、相場の方向性を確認する作業 |
上位足のトレンドがペナントをブレイクした方向と同じであれば、ブレイクアウトをした時に多くのトレンドフォローのトレーダーが入って値動きの勢いがつくことが多く、勝率の高いトレードができます。
コツ③ チャートが綺麗なペナント形状で反発回数が多いことを確認する
高値と安値のトレンドラインを引いてみて、きれいな三角形にならない場合は、エントリーを見送るのがおすすめです。
多くの市場参加者がチャート形状をペナントとして認識していないと、ペナント本来の値動きにならずダマシにあうリスクが高まるからです。
上記の画像のように、高値と安値のトレンドラインを引いてきれいなペナント形状にならない場合は、ダマシにあうリスクが高いため、エントリーに対して慎重になりましょう。
| トレンドラインとは相場の方向性を確認したり、トレンドの転換点を予測したりするために、2点以上の高値や安値に引いた線 |
コツ④ 類似チャートパターンとの違いを識別する
前述した通り、ペナントと類似のチャートパターンとしては、トライアングル、フラッグ、ウェッジなどがあり、それぞれ値動きの特徴が異なります。
チャートパターンの認識を間違えると狙った通りの値動きにならず、ダマシにあったと勘違いしてしまうでしょう。
その時々にあわせて高値と安値のトレンドラインを引いたり、チャートパターンを確認したりして、チャートパターンの値動きの特徴にあわせたトレードをするのが大事です。
まとめ
ペナントはトレンド継続を示唆するチャートパターンで、ブレイクアウト後は大きな値動きになりやすいことを解説しました。
ペナントは見つけようと思っても見つからないこともあるので、チャート分析をしていたら偶然見つけたくらいに考えるのがちょうどいいかもしれません。
ペナントを根拠としたトレードでは、類似チャートパターンとの見極めや、ダマシにあう確率を少しでも下げることが大切です。
また、FXはテクニカル要因だけでなく、ファンダメンタルズの要因も大きく価格を左右するので、各国の金利や経済指標の動向に気を配ってトレードの勝率を高めましょう。
| テクニカルとはチャートの過去の値動きから将来の値動きを予測する手法 |
| ファンダメンタルズとは各国の金融政策や経済指標、経済状況などから将来の値動きを予測する手法 |
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