2022年11月30日にOpenAIのリリースしたChatGPTが登場して以来、とてつもないスピードで生成AIが世界に普及していきました。
金融業界においても例外ではなく、さまざまな分野で生成AIの活用が進められています。
本記事では、金融業界で生成AIがどのように活用されているのか解説したあとに、生成AIを活用するリスクを解説します。
金融業界で働く方をはじめとして、生成AIに関心を持つ方にとっては参考になる内容になっているはずなので、参考にしていただければ幸いです。
金融業界の生成AIの活用例
今回紹介する金融業界の生成AIの活用例は以下のとおりです。
・ AIオペレーター
・ FP業務の支援
・クレジットカードの不正検出
・デジタル広告のクリエイティブ作成・開発
・株式投資で個人のニーズに合わせた銘柄選定
金融業界は幅広くて多くの分野で生成AIが活用されているため、今回紹介するのは一部にすぎませんが、本記事の解説だけでも生成AIが多くの分野で活用されているのが分かるでしょう。
AIオペレーター
コンタクトセンターでのAIオペレーターの活用は既に多くの企業やサービスで利用されているため、知っている方は多いでしょう。
問題解決サポート業務では、多くの顧客の対応を1人のオペレーターがすることも多く、オペレーターの負担が大きいです。
過去の問題解決履歴を学習済みのAIオペレーターを導入することで、人間のオペレーターは複雑なお問合せに集中できるようになりました。
また、生成AIに外国語を学習させると日本語以外にも対応できるようになります。外国語対応のできるオペレーターの確保が難しいことあり、外国語話者への対応のリソース確保に役立っています。
FP業務の支援
FP業務の「顧客ニーズの顕在化」と「提案内容の最適化」で生成AIを活用することで、FPの生産性が向上できるようになりました。
会話形式で顧客の個別ニーズを聞き出し、資産運用などに関して市場動向やライフプランに応じた最適なアドバイスを実行します。
また、FPによって経験や知識に差があるので、サービスの質が異なることもFP業務の課題としてありました。
生成AIをデータ分析などに補佐的に活用することで、提案の正確性の向上に貢献しており、顧客満足度の向上を実現しています。
クレジットカードの不正検出
悪意のある人物がクレジットカードの情報をカードスキミングなどで盗み、不正に利用する事件が多発しています。
そのような時代のなか、クレジットカードの不正を検出するために、生成AIを活用する動きが出てきました。
具体的には、MasterCardが生成AI活用によって以下のようにクレジットカードの不正利用対策を向上させています。
・不正に利用されたカードの詳細情報の予測や検知をすることで、従来より迅速に不正をブロック
・不正取引の検知における誤検知を200%削減
・悪意のある人物によって危険にさらされている加盟店を特定するスピードが300%向上
参照元: wisdom
生成AIといえば文書や画像の作成のイメージが強いかもしれませんが、上記のクレジットカードでの事例のように応用が進んでいるので、今後もさまざまな分野で活用されていくでしょう。
融資審査での稟議書作成
融資審査における稟議書とは、銀行内での融資が可能かを決めるための書類のことです。
融資審査における稟議書の作成には、多くの人物が関わったり、チェックする項目が多かったりして長時間かかるのが難点でした。
2024年11月現在では、大手銀行で稟議書の作成の際に生成AIの活用をする流れが進んでおり、業務時間の短縮に貢献しています。
また、与信審査において必要な審査項目の不足がチェックできるので、行員のヒアリングスキルの向上にも役立っています。
今後は地方銀行にも生成AIの導入促進が予想され、金融機関の生産性向上に貢献することが期待されるでしょう。
株式投資における銘柄選定などのサポート
近年では証券会社もAIを利用したサービスの展開をはじめており、銘柄選定やポートフォリオの最適化などのサポートを受けられます。
当社も東洋経済新報社様と共同開発した「四季報AI」というサービスを展開しており、「会社四季報オンライン」をはじめとしたデータを参照して、企業分析の手助けが可能です。
日々更新される会社四季報のデータをAIに学習させることで、企業同士の相関関係や業界動向に関する分析などを効率的におこなえます。
普段から会社四季報で銘柄分析をおこなう方は、四季報AIを活用することで効率的に銘柄分析ができるようになるでしょう。
四季報AIに興味のある方は、こちらからお問い合わせください。
生成AIを活用するリスク
金融業界での生成AIの便利な活用例を解説してきましたが、生成AIを活用するうえではリスクもあります。
便利な生成AIを安全に利用するためにも、リスクについても理解しましょう。
プライバシーの問題
生成AIは学習するうえで、インターネット上などで大量のデータをインプットしますが、出力する際に個人情報や、企業の機密情報を回答するリスクがあります。
クラウドでサービスを展開する生成AIの場合は、インターネット上にデータを保管して、ユーザーの回答に役立てるため、情報漏洩のリスクが高まるでしょう。
生成AIも進化を続けているので、個人情報や機密情報を出力するリスクは減っているものの、完全に排除することはできません。
生成AIを利用する際には、個人情報を入力しないようにしたり、社内利用の際にルールを厳格化したりする必要があるでしょう。
中立性・公平性の問題
生成AIは学習データを利用する際に、人種的差別や社会的差別などを取り込んで、偏見や先入観のある回答をする場合があります。
例えば、企業で生成AIを活用した採用活動をおこなった結果、特定の人種や性別に偏った採用結果になったケースがあります。
差別や先入観を助長させてしまうと、企業の評判低下や個人の権利侵害などにつながるリスクがあるでしょう。
中立性や公平性の問題を解決する手段としては、採用や融資の場面など特定の人種が不平等な扱いを受けそうな場面で利用しないことや、生成AIが学習データを利用する際に、偏った情報を利用しないように設計することなどが挙げられます。
誤情報を出力するリスク
生成AIは事実に基づかない情報を事実であるかのように回答する場合があり、この事象をハルシネーションといいます。
生成AIが進化を続けたとしても、ハルシネーションは避けられないので、生成AIは誤情報を出力するリスクがあるものだと認識しましょう。
多くの生成AIでは、ユーザーからの回答に利用したサイトのソースを添付する機能があります。
ハルシネーション対策としては、ソース元のサイトや、Google検索からの信頼できる情報源などで事実確認することが大切です。
規制の問題
生成AIは生産性向上に大きく貢献するものの、上記で述べた
・プライバシーの問題
・中立性や公平性の問題
・誤情報を出力するリスク
などを抱えていることから、世界各国で規制の導入がおこなわれはじめています。
2023年5月に開催された広島サミットでG7が生成AIを含んだAI技術の規制や倫理的利用に関する共通の枠組みを目指す「広島AIプロセス」に合意しました。
2024年5月には、EUで生成AIを含んだAIの倫理的で安全な技術活用を促進するために、「欧州AI規制法」が成立しています。
今後も生成AIをはじめとするAIが進化を続けるのは間違いなさそうですが、規制によって一部のサービスが利用できなくなるなどのリスクがあるかもしれません。
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そのため、プライバシーや規則の問題が気になって生成AIの導入をためらっている会社でも導入しやすいでしょう。
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