本記事では、企業分析のサポートが可能な生成AIである四季報AIを有効活用するための株価指標を解説します。
四季報AIは回答の根拠を多くの場合で四季報オンラインの情報にしており、今回紹介する株価指標の意味を理解していることで、銘柄分析がスムーズにできるようになるでしょう。
企業分析をするうえで最低限はおさえておきたい株価指標を解説しているので、銘柄分析の洞察に役立てたい方は参考にしてください。
四季報AIについて
四季報AIは、子会社の株式会社ロゼッタが東洋経済新報社様と共同開発した株式投資における企業分析を効率化するための生成AIです。
常に最新の四季報の情報を学習しているので、最新の決算分析を効率的におこなえます。
また、生成AIを活用して高度なデータ解析をおこなうと多面的な分析ができるので、普段から四季報を利用している方でも多くの気づきがあるかもしれません。
四季報AIを利用するには四季報オンラインのプレミアム会員になる必要があり、月額5,500円かかるものの、プレミアム会員は多くのサービスがあるので、興味がある方は検討してください。
四季報AIを活用するうえで知っておきたい株価指標
四季報AIを活用するうえで知っておきたい株価指標を以下の観点から解説します。
・成長性に関する株価指標
・収益性に関する株価指標
・割安性に関する株価指標
・安全性に関する株価指標
銘柄分析を効率的におこなうためにも、主要な株価指標をおさえておきましょう。
成長性に関する株価指標
まずは企業が成長しているかを判断する指標の「売上高」と「営業利益」を解説します。基本的に企業が成長していないと株価の上昇は期待できないため、重要な指標です。
売上高
引用元:四季報オンライン
売上高は企業が商品やサービスを提供して得た売上の合計で、基本的には売上高が伸びているほど利益も伸びやすいので成長性が高いです。
また、売上高が多いと企業が設備投資や開発などさらなる成長するための資金を確保しやすいので、高成長が続きやすいです。
ただし、売上高が伸びていても次に紹介する営業利益が伸びていないと健全な成長とはいえないため、営業利益もチェックしましょう。
営業利益
引用元:四季報オンライン
営業利益は企業が本業の営業活動で得たもうけを表す数値で、本業で稼ぐ力を見る指標として使われることが多いです。
営業利益が大幅に黒字化している企業は中核となる事業が伸びていることを意味するので、優良な企業とされます。
そのため、営業利益が赤字の企業は成長性に疑問があるため投資に慎重になったほうがいいものの、将来的に成長期待が高い銘柄の場合は赤字でも株価が大きく上昇することもあります。
収益性に関する株価指標
収益力の高い企業は倒産のリスクが低いうえに成長のための投資がしやすく、株価が上昇しやすいなど多くのメリットがあります。
収益性に関する株価指標を理解して優良銘柄を見極められるようになりましょう。
売上高営業利益率
売上高営業利益率は成長性に関する指標で解説した営業利益と売上高で求められ、計算式は以下のとおりです。
営業利益 ÷ 売上高
売上高営業利益率が高いほど本業で効率よく利益を出せているため、収益力の高い企業といえるでしょう。
EPS
引用元:四季報オンライン
EPSは1株あたり純利益のことで、計算式は以下のとおりです。
当期純利益 ÷ 発行済株式数
当期純利益は売上から経費や税金などを除いた企業の最終的に残った利益で、当期純利益を発行済株式数で割ると1株あたりの利益であるEPSが求められます。
基本的に当期純利益が多いほど収益力が高い企業と見ることができ、EPSが過去と比較して順調に増えていれば、収益力だけでなく成長性も高いことがわかります。
ROE(自己資本利益率)
引用元:四季報オンライン
ROEは自己資本利益率のことで、株主の出資した金額に対して企業がどれほどの利益を上げたのかを数値化した指標です。
ROEは以下の計算式で求められます。
当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
ROEが高いほど株主の出資金に対して高い利益を上げているので、経営効率のよい企業といえるでしょう。
ただし、分母となる自己資本には借金などの負債が含まれないため、注意が必要です。
たとえば、借入金が多くて高い利益をあげている企業の場合は、ROEの観点で見ると経営効率がよいと解釈してしまうでしょう。
そのため、次に解説するROAも確認して経営効率を多角的に判断する必要があります。
ROA (純資産利益率)
引用元:四季報オンライン
ROAは純資産利益率のことで、借金などの負債も含めた資産全体に対してどれほどの利益をあげたのかを数値化した指標で、高いほど経営効率が高い傾向にあります。
ROAの計算に使う利益は明確に定められていませんが、一般的に株式投資では当期純利益が用いられ、計算式は以下のとおりです。
当期純利益 ÷ 総資産
ROAは借金も含めた資産全体をもとに計算しているため、企業がおこなった全体の投資に対するリターンがどれくらいあげられたのかを見る指標として活用できます。
割安性に関する株価指標
割高な銘柄を選んでしまうと高値掴みになって損失を出してしまうことも考えられます。
将来有望な銘柄を割安で投資できれば株式投資が有利になるので、割安性に関する指標も確認しましょう。
PER
引用元:四季報オンライン
PERは株価収益率という意味で、企業の出している利益と比較して割高か割安かをはかる指標です。
PERは株価がEPS(1株あたり純利益)の何倍になっているかを表し、計算式は以下のとおりです。
株価 ÷ EPS(1株あたり純利益)
上記の画像の予想PERは、将来のEPSの予想に対しての数値で、連25.3は2025年3月期、連26.3は2026年3月期の予想PERを指し、株式投資の分析には一般的に予想PERを用いられます。
将来の業績見通しを反映した予想PERを株式投資の分析に用いるのは、株式投資は主に将来の業績を予想して株価が上下するからです。
ただし、業界によって予想PERの平均は異なるので、絶対的な数値で判断するのではなく、業界平均との比較や予想PERの下に記載されている実績PERも参考にしましょう。
なぜなら、実績PERは過去3決算期の最高PERと最低PERの平均をとった指標で、銘柄のおおむねのPERがわかるからです。
将来的な成長期待が高いハイテク系の銘柄は将来の成長を織り込んで高PERになりやすく、成長期待が少ない成熟した業界の場合は低PERになりやすいのは覚えておきましょう。
予想配当利回り
引用元:四季報オンライン
予想配当利回りは、企業が予定している配当金額を基準として現在の株価で購入すると得られる配当金の割合です。
予想配当利回りの計算式は以下のとおりです。
1株あたり予想年間配当金 ÷ 株価 × 100
予想配当利回りは業界によって平均値が異なるので、絶対的な数値を用いて高いか安いかを判断するのは難しいですが、一般的に成長性の高いハイテク銘柄などは予想配当利回りが少なくなりやすいです。
予想配当利回りで割安かどうかを判断するためには、以下のように同業のライバル企業と比較することが大切です。
引用元:四季報オンライン
ただし、予想配当利回りが高い銘柄は将来の業績や財務面に懸念があって割安になっている場合もあるので注意しましょう。
安全性に関する株価指標
安全性に関する指標は企業の経営の安定性を分析できて、倒産懸念がある銘柄を避けるためにも役立ちます。
ここまで解説した業績面に関する指標ではなく、財務面を判断する指標になるので、資金手繰りが安定している銘柄を選びたい方は参考にしてください。
自己資本比率
引用元:四季報オンライン
自己資本比率とは、企業の資金調達の源泉で返済不要の自己資本がどれくらいの割合を占めているかをはかる指標です。
そのため、自己資本比率が高いほど財務面で安定していて倒産しにくい企業といえるでしょう。
自己資本比率の計算式は以下のとおりです。
自己資本 ÷ 総資本
業界によって自己資本比率の平均が異なるので、何%以上が高いと断言するのは難しいですが、一般的に自己資本比率が50%以上あると良好な状態といえます。
なぜなら、自己資本比率が50%を超えていると、企業の調達源泉のうち負債よりも返済不要の自己資金のほうが多いからです。
製造業などの設備投資の金額が多くなりやすい業種は自己資本比率が低くなりやすいなど業種によって傾向が異なるため、銘柄分析の際は同業他社と比較することが大切です。
流動比率
流動比率は短期的な財務の安全性をはかる指標で、計算式は以下のとおりです。
流動資産 ÷ 流動負債
流動資産は短期的に現金化が可能な資産で、流動負債は短期的な支払い債務を数値化した指標です。
四季報オンラインでは以下の手順で確認できます。
四季報オンラインの銘柄の業績欄から「業績財務の詳細を見る」をクリックする。
引用元:四季報オンライン
資産や負債・純資産の欄で流動資産や流動負債が確認できます。
引用元:四季報オンライン
短期的に現金化が可能な流動資産と短期的な支払い債務の流動負債のバランスを見ることで、短期的な企業の安全性がわかります。
一般的に流動比率が200%を超えていれば短期的な財務の安全性が高いとされていますが、業種によって目安となる流動比率が異なるので、同業他社や業界平均と比較することも大切です。
ただし、流動比率が100%を下回っていると短期的な支払い債務のほうが多いことを指し、債務不履行になるリスクもあるので、投資するのは慎重になったほうがいいでしょう。
まとめ
今回紹介した株価指標の意味を理解しておくことで、四季報AIを活用したときにファクトチェックや銘柄分析がスムーズに進むようになるはずです。
ただし、株価指標は業界特有のビジネスモデルや経済環境の影響などによって偏った数値になることも多く、絶対的な数値を基準として判断するのは危険です。
たとえば、将来的な成長期待が高いハイテク系の銘柄は、将来の成長を織り込んで高PERになることが多いでしょう。
単一銘柄の株価指標だけで判断するのではなく、同じ業界の平均値と比較したり、同業他社の数値と比較したりするなど多角的に分析することが大切です。
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