2023年1月現在では株式市場はある程度落ち着きを取り戻しつつありますが、2022年は高PERのハイテク株を中心に激しく売られて、投資家にとっては受難の1年でした。
これだけの大暴落が起きたのはなぜなのか疑問に思っている人も多いと思うので、様々な要因から紐解いていきます。
まず金利やインフレが株価にどう影響を与えるのかを詳しく解説しているので、インフレや金利が株価にどう影響を与えるのかはよく理解している方は飛ばしていただけると幸いです。
インフレからの急速な利上げでの大暴落を経てこれからの投資にどう活かせば良いのかを書いたので、特に投資家の方に参考にしていただければ幸いです。
インフレと金利が株価に与える影響
2022年の株価大暴落を理解する上では、インフレと金利はとても大事な知識になるので詳しく解説します。
インフレとは
インフレとは、簡単にいうと物の価格が上がり、相対的にお金の価値が下がることです。
インフレには「良いインフレ」と「悪いインフレ」があり、「良いインフレ」の時は物の価格が上がりつつ企業業績や賃金が上がっていくので消費が落ち込むことはありません。
しかし、物の価格が上がっているにも関わらず企業業績や賃金が上がらないと国民の生活は苦しくなるので、当然消費が落ち込み景気が悪くなります。
(出所)Bloombergを基に野村アセットマネジメント作成
上図を見ればわかる通り、2021年半ばから平均時給はほとんど上昇してないにも関わらずCPI(米国消費者物価指数)の値が軒並み急上昇していたことを見ると2021年からのインフレは悪いインフレだったと言えるでしょう。
インフレが進むと金融引き締めで金利が上がる
インフレが進みすぎると物の価格上昇に国民の賃金上昇が追いつかなくなり、国民の生活が苦しくなるので、基本的には利上げをして金融引き締めをすることによりインフレを抑制します。
利上げをすることで、インフレが抑制できるのは以下のようなメカニズムです。
1.金利が上がることで、借入条件が不利になり、個人や企業の借入が減る
↓
2.企業の設備投資や個人が買い物に使えるお金が減るので、消費が落ち込む
↓
3.企業が人を必要としなくなるので、人材が余り給与が減る
↓
4.物やサービスの価格が下がって景気が落ち込む
中央銀行が利上げをするとこのようなメカニズムで景気が悪くなりインフレが収まります。
2022年に米国株が大暴落した理由
2022年にはインフレが進みすぎたことやFRBの対応がやや遅かったのもあり、かなり急速に金融引き締めが行われました。
株価が大暴落した一番の原因は金融引き締めだと考えられるので、そのことを中心に解説していきます。
大規模な金融緩和で株価が高値圏にあった
2022年初めから株価の大暴落が始まっていきましたが、2022年初めの時点で株価が高値圏にあったということも考えられます。
2020年3月にコロナウイルスによって世界経済は大打撃を受けましたが、世界各国の中央銀行が大規模な金融緩和を開始しました。
FRBも例外ではなく、緩和縮小をするまでは毎月1200億ドルほど市場に資金を供給していて、そのおかげもありコロナウイルスによって世界情勢が不安定な中ハイテク株を中心に株高が続いていました。
ニッセイ基礎研究所より

上図を見てもわかる通りS&P500指数の予想PERは高くても19倍程で止まるのが普通ですが、2021年以降EPS(1株当たりの利益)がコロナウイルスが蔓延する前以上になっても予想PERベースで21倍以上の高値圏にあり、かなりの株高であったことが分かります。
このように大暴落が起きる前に株価が既に高値圏にあったことが大暴落の原因の1つと言えるでしょう。
急速な金融引き締めで市場を牽引していたハイテク株を中心に売り込まれた
ハイテク株などのグロース株(成長株)は、将来見込まれるであろう収益をあらかじめ先取りして買われる傾向があるために一般的にPERが高いです。
PERが高いとPERの逆数である益周り(1株当たりの利益を株価で割ったもの)が低いために、金利の上昇と比較した場合に相対的に投資対象としての魅力が少なくなり、売られる傾向にあります。
S&P500指数の過去5年間のチャート(2023年1月現在)
ナスダック指数の過去5年間のチャート(2023年1月現在)
ナスダックの場合は最高値から最大で35%以上、S&P500は最大で25%程下落とやはりハイテク株の比重が高いナスダックの方が下げが大きかったです。
ナスダックは勿論のこと、近年ではハイテク株の成長が高く、現在の時価総額上位もハイテク企業が独占しています。
S&P500も時価総額加重平均型の株価指数で、情報技術だけで30%近くを占めているので、近年はハイテク企業の調子で指数全体が大きく下落してしまう傾向にあります。
ロシアとウクライナの戦争でインフレが加速した
ロシアとウクライナの戦争によって2021年からインフレが進んでいた中、穀物や原油などを中心とした価格高騰がさらにインフレを加速させました。
両国合わせて世界全体の小麦の約30%、トウモロコシや無機質肥料や天然ガスの約20%、原油の約11%を占めているので、両国の戦争が世界全体へ与える影響はとても大きかったです。
これからの投資にどう生かすか
今回の米国株大暴落を経験して、これからの投資にどのようにして生かしていけばいいか具体的な考えをいくつかまとめてみました。以下のようなことです。
1.金利上昇をFRBが匂わせ始めたら少なくとも高PERのハイテク株は売っておき、次に低金利になるのを待つ
2.米国が金利上昇していく時には基本的に低金利政策の日本との関係上ドル円は円安になっていく可能性が高いので、ドル円をロングする
3.急激な金利上昇局面では、考え方を柔軟にして高PERのハイテク系の株をショートして短期的に利益を狙う
4.利益をまだ上げることができていないにも関わらず、時価総額が高いハイテク株への投資は慎重になる
5.セクターローテーションの理解が大切だと再認識する
1つずつ具体例や図を交えながら分かりやすく解説していきます。
金利上昇をFRBが匂わせ始めたら少なくとも高PERのハイテク株は売っておき、次に低金利になるのを待つ
アメリカの景気や政策は世界経済への影響が大きいため、FRBが打ち出す政策にも大きく注目が集まります。2021年3月にもFRBがテーパリングの開始を示唆した時も暴落がおきましたが、FRBの政策次第で大きく株価が動くことも少なくないためにFRBの政策決定に影響を与えやすい米国雇用統計とFOMCの2つは最低でもチェックしておいた方が良いでしょう。
景気が悪くなっていて、好景気にするために金利を引き下げしていく局面では、ハイテク株は比較的割安になっていることが多く(2023年1月現在は比較的割安だと思われます)、AI分野やクラウドコンピューティング関連などの高成長が見込まれる分野の株を安値で仕込んでおくことができれば、期待値の高い投資ができる可能性が高いと言えます。
米国が金利上昇していく時には基本的に低金利政策の日本との関係上ドル円は円安になっていく可能性が高いので、ドル円をロングする
基本的には中央銀行が利上げをするとその国の通貨は買われるので、FRBが利上げをすればドルが買われてドル円は円安になっていく可能性が高いです。
私自身は米国が金利を上げると金融緩和を続けている日本との相対的な紙幣価値は明らかにドルの方が高まっていくと思っていたのですが、ドル円ロングを見送ってしまいました。
私の予想通りにドル円は上昇を続けて一時は150円台をつけるほどまで上がり、とても悔しい思いをしました。
2022年4月〜2023年1月現在までのドル円のチャート
円安が止まらず140円を超えた所で、2022年9月と10月には日本銀行が24年ぶりとなる為替介入に入るまでの事態となったのはとても衝撃的でした。
iphoneの値段が15万円以上になったり、食料品の価格高騰が進んで庶民の生活が苦しくなったので仕方ないですが、介入した後もしばらく円安トレンドは変わりませんでした。
日本は2022年12月に黒田総裁が実質的な利上げ政策をとりましたが、その後は金融緩和政策を継続していくと表明しており、これからも低金利政策が続いていく可能性が高いと思います。勿論未来のことは分からないので、次の米国の金利上昇局面では日本の利上げが進んでいた場合は簡単に円安に転じるような相場にはならないかもしれませんが、日本が金融緩和を続けていたとしたら、ドル円のロングで勝てる可能性が高いでしょう。
急激な金利上昇局面では、考え方を柔軟にして高PERのハイテク系の株をショートして短期的に利益を狙う
日本株と米国株のどちらも投資経験のある私の感覚に過ぎませんが、ストップ高やストップ安などの1日の値幅制限がない米国株の方が株価が上にも下にも大きく動きやすい印象を持っています。
株価下落時は、上昇時よりも更に急激な動きをする傾向があるために高PERのハイテク株をショートする戦略は有効と言えます。
具体的なショートの手段ですが、以下のようなものが挙げられます。
- SBI証券、楽天証券、マネックス証券で個別株を空売りをする
- CFD取引で売りを入れる
- インバース型のETFで様々なバリエーションのショート戦略をとる
1つ目はSBI証券、楽天証券、マネックス証券で個別株を空売りをするという日本株で普段取引する方には一番馴染みのある方法です。
SBI証券では大手ハイテク株を中心に48銘柄で楽天証券の場合は550銘柄以上が空売りできるので、SBI証券しか持っていない人は他の証券口座を開設すればそれぞれの証券会社のメリットを享受できるようになります。
空売りは、貸株料がかかるのと配当金権利日に持ち越していると配当金分の料金が取られてしまうので、注意が必要です。
2つ目は、CFD取引で売りを入れることです。
CFD取引は実際に株式や証券を保有することなく対象の資産の値動きに対しての価格変動分の取引をする「差金決済取引」で、株式だけでなく各種株価指数を始めとして、原油や金などのコモディティ商品にも連動したものもあります。
CFDの大きなメリットは、市場が開いていない時でも24時間取引ができることです。取引時間外で相場を大きく動かす大きなニュースがでた時でもチャンスを逃すことなく取引ができるのは大きな強みと言えるでしょう。
IG証券は世界最大級のCFD銘柄の取り扱い銘柄数を誇る証券会社で、米国株だけで7000銘柄以上の取引をすることができます。もし開設できた場合はとても便利ですが、口座を開設する上での審査が他の証券会社よりもやや厳しいので、審査に通らなかった場合は他の方法を試しましょう。
3つ目のインバース型のETFで様々なバリエーションのショート戦略を取る方法ですが、上記2つと比較した際に取引できる証券会社が多く、実行しやすいです。
インバース型のETFとはレバレッジ型(原資産の日々の騰落率のプラス◯倍)の逆でマイナス◯倍となるように設計された指標です。
市場全体が大きく下落しているような局面では、多くの銘柄で構成されている指数に連動した指標となっているので、安定的に利益を狙うことができます。
ただ、レバレッジ型やインバース型の欠点として値動きがどっちつかずのボックス相場の時には価格が下落しやすいので、長期保有には向かないかもしれません。
TZA Direxion デイリー 米国小型株 ベア3倍 ETFの過去2年間のチャート(2023年1現在)
SOXS Direxion デイリー 半導体株 ベア 3倍 ETFの過去2年間のチャート(2023年1現在)
TECS Direxion デイリー テクノロジー株 ベア 3倍 ETFの過去2年間のチャート(2023年1現在)
上記3つともベア3倍(相場が下落している時に3倍上昇する)のETFで上から
- 小型株中心のTZA
- 半導体株中心のSOXS
- テクノロジー株中心のTECS
となっています。
TZAは「Russell 2000」という米国小型株を2000銘柄集めた指数に連動するように設計されていて、一般的には小型株は外部環境の影響を受けやすく成長性が高いため高PER銘柄が多いので軒並み2022年初めから本格的に利上げが初めったことを機に軒並み下落しました。2022年初めには30ドル以下だったのが、2022年半ばには50ドル台半ばまで上がり約2倍になりました。
SOXSはコロナ相場が始まってからずっと相場を牽引してきた半導体株を中心に構成されていて、SOXSのロングバージョンであるSOXL(構成銘柄が上がると3倍上昇)はコロナウイルスによって株価が大きく下落してから最高値までを比較すると10倍以上も上昇しました。これはS&P500のブル3倍であるSPXLを大きく上回っています。
SPXL Direxion デイリー S&P 500 ブル3倍 ETF(2023年1月現在から過去3年分のチャート)
SOXL Direxion デイリー 半導体株 ブル 3倍 ETF(2023年1月現在から過去3年分のチャート)
半導体関連株は世界全体の半導体の不足があり、とても好調でコロナ相場が始まってからずっと市場平均を超えていたこともありかなり割高になっていたのは否めなかったようです。
その反動もあってか利上げが始まってからの下げはかなりきつく、SOXSは2022年初めから最高で3倍程までになりました。
TECSも成長性が高く高PER株が多いテクノロジー関連の株を中心に構成されているので、2022年初めから約2倍ほどまで上がりました。
これらの結果は3倍のレバレッジがかかっているのと大規模な金融緩和で規模の大きいバブルになっていたことや、その後のFRBの対応が遅れてかなりのハイスピードで利上げが行われて株価が大暴落が起きるというかなり稀なケースであったためうまく行き過ぎたこともありますが、ここまでならなかったとしても再現性が高いトレードと言えるのではないでしょうか。
利益をまだ上げることができていないにも関わらず、時価総額が異常に高いハイテク株への投資は慎重になる
米国株には先の成長を見込んで日本では考えられないほど時価総額が高くなっている銘柄が多くあります。米国株は赤字でも将来的な期待が高いと市場が判断すると簡単に日本円に換算して1兆円以上の時価総額が当たり前のようにつきます。
下げがきつかったハイテク株の中でも特に激しく売られた大手ハイテク株5社を紹介します。
ブロックの過去5年分のチャート
社名:ブロック
チャートの中で最高の時価総額:約1650億ドル
2023年1月現在の時価総額:約485.57億ドル
直近3ヶ月の営業利益:約3977万ドルの赤字
主な事業:決済サービスやPOSシステムの提供
ブロックは決済サービスやPOSシステムの提供を行っているテクノロジー企業で、主な製品は商店や個人事業主に対してクレジットカード決済を円滑に進めるための端末やアプリケーションです。
21年末からビットコインを売買できる「Cash App」というサービスの取引高が減っていることを主原因とする業績軟調と予想外の速度での利上げによって高いバリエーションが許容されなくなり、最高値からは3分の1以下までになってしまいました。
クラウドストライクの過去5年分のチャート
社名:クラウドストライク
チャートの中で最高の時価総額:約666億ドル
2023年1月現在の時価総額:約244.87億ドル
直近3ヶ月の営業利益:約5600万ドルの赤字
主な事業:サイバー攻撃対応サービスを提供
クラウドストライクはサイバー攻撃対応サービスを提供するサイバーセキュリティ企業です。サービス名はクラウドストライクファルコンというクラウド上で稼働するSaaSで、全世界の端末の振る舞いを監視し、1日に1兆件以上という膨大な数のイベントを収集して、学習しています。
2021年末にモルガン・スタンレーが目標株価を引き下げたことが原因で株価が急落し、その後も売上は順調に増えているものの、営業黒字にすることができず金利上昇とともに株価は下落していき、現在は最高値から半分以下になってしまいました。
Shopifyの過去5年分のチャート
社名:Shopify
チャートの中で最高の時価総額:約2129億ドル
2023年1月現在の時価総額:約608.46億ドル
直近3ヶ月の営業利益:約3億4500万ドルの赤字
主な事業:ECサイトを運営するためのEコマースプラットフォームを提供
Shopifyは、知っている方が多いかもしれませんが、ECサイトを運営するためのEコマースプラットフォームで、インターネット上で商品を販売するためのオンラインストアを簡単に作成して管理することができます。
決済手段が豊富、SNS連携が簡単で集客に強い、高いデザイン性のサイトを構築できるなどのメリットがあり、高いブランド力を持っている企業はアマゾンや楽天などで売るよりも手数料がかからなく、管理も容易なことからナイキやディズニーなどはshopifyで自前のサイトを構築しています。
2021年は新型コロナウイルスの影響でオンラインショップを開設する人が増えたため業績が急拡大して株価も急上昇しましたが、2022年からはECサイト構築の需要減で赤字になってしまい、現在では最高値から3分の1以下になってしまいました。
Asanaの過去5年分のチャート
社名:Asana
チャートの中で最高の時価総額:約301億ドル
2023年1月現在の時価総額:約30.96億ドル
直近3ヶ月の営業利益:約1億ドルの赤字
主な事業:チームのタスク管理やプロジェクト管理に活用するソフトウェアを提供
Asanaはチームのタスク管理やプロジェクト管理に活用するソフトウェアで、チーム・各個人毎の仕事毎の進捗を可視化でき、個人は勿論チーム全体の生産性を高めることができます。
Facebookの初期メンバーだったDustin MoskovitzroとJustin Rosensteinによって創業され、急成長するFacebookでプロジェクトをこなしていくうちに全体の進捗や誰が何をしているのか分からない状況になっていることにとても困っていた中タスク管理ツールの必要性を強く感じ、Facebookを抜けてAsanaを開発しました。
ただ、TrelloやAirTableなどとの競争が激しく差別化も難しいことから成長性に疑問をもたれ始めて、2021年の決算後から暴落が起きて、最高値から10分の1程までになってしまいました。
Datadogの過去5年分のチャート
社名:Datadog .Inc
チャートの中で最高の時価総額:約579億ドル
2023年1月現在の時価総額:約222億ドル
直近3ヶ月の営業利益:約3100万ドルの赤字
主な事業:SaaS型運用監視サービスを提供
Datadogは当初データの統合や可視化に注力していましたが、インフラストラクチャー監視やLog管理など監視対象を広げており、オンプレミスやクラウドなどにも囚われずにDatadog1つで監視できることを強みとしています。
2022年に入ってからも売上は順調に上がっていて、営業益は赤字に転落したものののそこまで悪い決算は出していませんが、やはり利上げの影響から割高なバリエーションを市場は許容してくれず最高値から半分以下になってしまいました。
上記5社は一例に過ぎませんが、高成長が期待できる銘柄はチャートを見れば分かるように上昇相場の時には市場平均を大きく超える上昇が期待できる反面、割高なバリエーションがついているので、金利の上昇には滅法弱く、投資時期は慎重に見極めることが大事です。
セクターローテーションの理解が大切だと再認識する
セクターローテーションとは、景気変動に伴って物色されるセクターが変わるので、それに合わせて投資対象を入れ替えていく投資戦略です。
これまで解説してきたように金利上昇局面では高いバリエーションがついているハイテク株を保有するのは得策ではなく、現金にして待機するかショートに切り替えるか、別のセクターへ投資対象を入れ替えるべきでしょう。
SBI証券より引用
上図は割と有名な図で見たことがある方も多いと思います。景気循環毎の物色されやすいセクターが簡単に分かるようになっていて、知らなかった方は参考になると思います。
景気が弱い時は投資家は守りに入るので、業績が景気に左右されにくい業種が好まれます。
具体的には、電力会社のような配当もあり、安定している業種や生活必需品セクターも好まれます。
デフレ局面では物やサービスの価格が下がってしまうので、バイオテクノロジーのような製品の価格が景気に左右されないセクターの株が人気化しやすいです。
景気がよくなっている時は、ハイテク株のような高い成長性に期待できるような企業に人気が集まりやすいです。
デフレからインフレに移行する段階ではコモディティ価格の上昇がプラスに働くので、素材や工業関連の株が人気化しやすいです。
長短金利差が拡大することで、銀行の利益が上がることから、金融セクターも一般的には強いです。
finvizで過去1年間の騰落率を示した図(2023年1月現在)
上図はfinvizという米国の主要企業がセクター毎に固まって表示されている図です。時価総額が大きい程面積が大きく表示されていて、アップルやマイクロソフトなどはとても大きいですね。
2023年1月現在から1年程前からの騰落率を表示したのですが、色が緑な程プラス推移で、赤い程マイナス推移という意味です。
金利上昇の影響が強くテクノロジーや半導体は苦戦していますが、エネルギーは緑一色でセクターによって明暗が分かれていたのが簡単に分かります。
セクターローテーションの理解ができれば効率よく収益を上げる可能性が上がると思うので、理解するのは大切です。
まとめ
2022年の米国株大暴落はとても衝撃的で、2021年はあれだけ調子がよかったにも関わらず相場はとても難しいことを思い知らされました。
Asanaのように市場平均をはるかに上回っていても、米国株の場合は市場が成長性に疑問を持ち始めるとこれでもかと売られてしまうこともあるのはとても勉強になりました。
FRBの方針が理解できていると、今景気循環の中でどのフェーズにあるのかを理解できるので、適切な投資戦略が立てやすいので、FOMCや米国雇用統計のチェックはとても大切だと改めて感じました。
今回の大暴落はインフレが原因で利上げが過去にないほど急速で行われたことが主原因ですが、コロナショックのように突発的な予想できない暴落ではなく、インフレ率や利上げの可能性を考慮に入れて入れば、ある程度予想できたことなので、今回の暴落の経験を生かしてこれからの投資に役立たせたいです。
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