「FXで勝つ人って、特別な法則を知っているのかな?」そんなふうに感じたことはありませんか。実際に相場では、統計的に「こうなりやすい」という傾向、いわゆるアノマリーが存在します。
こうした値動きの傾向を知れば、トレードの勝率を上げやすくなるでしょう。本記事では、FXの代表的なアノマリーや月別の主要通貨の傾向をわかりやすく紹介します。
FXのアノマリーとは
アノマリーとは、明確な理論では完全に説明できないものの、統計的に確認される値動きの傾向のことです。トレードで利用できる経験則として注目されています。
市場参加者の心理や、特定の時期に集中する取引などが影響して、アノマリーが生まれていると考えられています。
ダマシが起きる場合もあるので、アノマリーは絶対的なものではありません。しかし、過去のデータで60%程度の勝率を示すアノマリーも存在し、トレード戦略の重要な判断材料となることもあります。
重要なのは、アノマリーを盲信するのではなく、ファンダメンタルズやテクニカルと組み合わせて活用することです。
FXの代表的なアノマリー
FXの世界には、トレーダーの間で古くから知られているアノマリーが存在します。
本記事では、代表的な以下5つのアノマリーを紹介します。
- ゴトー日
- ロンドンフィキシング
- 雇用統計
- 水曜日スワップ
- 米国の大統領選挙
これらのアノマリーの特徴を理解することで、トレードの判断材料として活用できるでしょう。
ゴトー日
ゴトー日とは、5と10のつく日にドル円が上昇しやすい傾向のことです。
これは、多くの日本企業が、輸入品の決済などをゴトー日に設定する習慣があるから起きます。
決済のために円を売ってドルを買う動きが、銀行のレートが決まる午前9時55分(仲値)にかけて活発になりやすいのです。
そのため、毎月5日・10日・15日・20日・25日・30日の午前9時55分までは、ドル円が上昇しやすい傾向にあります。
ゴトー日アノマリーを検証した結果、勝率6割以上を記録したというデータもあります。比較的信頼性の高いアノマリーといえるでしょう。
ロンドンフィキシング
ロンドンフィキシングとは、日本時間で冬時間25時(翌日1時)、夏時間は24時(翌日0時)までの時間帯で、ユーロやポンドが動きやすいというアノマリーです。
この時間帯は、大手金融機関が顧客の注文をまとめて処理します。そのため、売買が活発に行われて大きな値動きになりやすいのです。
「今日のロンフィクはどう動くかな?」と世界中のトレーダーが注目するため、ユーロやポンドなどの通貨でトレンドが発生しやすくなります。
予想外の方向に大きく動くこともあるので、ロンドンフィキシングの取引には十分な注意が必要です。
雇用統計
米国の雇用統計は原則毎月第一金曜日に発表される重要経済指標です。
雇用統計の数値が予想より良好だった場合はドル買い、悪化した場合はドル売りの動きが強まる傾向にあります。
雇用統計はFRBの金融政策に大きく直結するため、市場参加者の注目度が非常に高いです。発表直後には、米ドルが絡んだ通貨ペアが一方向に大きく動くことが珍しくありません。
雇用統計の発表直後は値動きが激しすぎるうえに、スプレッドが広がりやすく、トレードしにくいです。トレード経験の浅い方は、発表時間帯を避けてトレードすることをおすすめします。
水曜日スワップ
水曜日の夜から木曜日の朝にかけて、高金利通貨が買われやすいアノマリーがあります。
このアノマリーは、水曜日の取引終了後に、通常の3倍のスワップポイントを付与するFX会社が多いことから起きると考えられています。
FXのスワップポイントとは、トレードをする際の通貨間の「金利の差」のことです。高金利通貨買い・低金利通貨売りのポジションを翌日の朝方まで持ち越すことで、利息を受け取れます。
3倍のスワップポイントを狙うトレーダーが水曜日に積極的に取引を行い、円などの低金利通貨が売られ、高金利通貨が買われやすくなるのです。
3倍のスワップポイントを受け取った後に、高金利通貨買い・低金利通貨売りのポジションを決済するトレーダーもいます。そのため、木曜の朝方以降は円高に動く可能性もあることを覚えておきましょう。
米国の大統領選挙
4年に1度行われる米国大統領選挙の年は、ドル高になりやすい傾向があります。
この背景には、大統領候補者が景気をよくするための経済政策や金融緩和策を打ち出すことが多いからと考えられています。そうした政策への期待感から、投資家の資金が米ドルに集まりやすくなるというわけです。
とはいえ、候補者の政策やそのときの経済情勢によって、ドルの需給は異なります。過去の傾向の一つとして、長期的な相場観を養うための参考にするといいでしょう。
【月別】過去20年のデータからわかるFXのアノマリー
FXのアノマリーは月ごとに傾向が異なります。筆者が「Equity Clock」というサイトで過去20年間のデータを分析してみると、興味深いパターンが浮かび上がりました。
月別のアノマリーを理解することで、「なぜこの時期にこの通貨が強いのか?」という疑問が解決し、より戦略的なトレードが可能になるでしょう。
4月はポンド高になりやすい
4月は過去20年間のデータでポンドが上昇しやすい明確なアノマリーが確認されています。
この背景には、4月に英国でイベントラッシュがあったり、会計年度が始まったりすることが関係していると考えられます。
4月の英国では、以下のような経済を活性化させるイベントが目白押しです。
- イースター(復活祭)
- グランドナショナル競馬
- セント・ジョージ・デイ
- ロンドンマラソン
また、4月に新年度を迎えるにあたり、機関投資家などがイギリスへ資金を戻したり、新たな投資を始めたりする動きが活発になります。
その結果として4月にポンドの需要が高まり、買われやすくなるのです。
7月は円高・ドル安になりやすい
7月は市場参加者が少なくなる「夏枯れ相場」の中で、円高・ドル安が進みやすいというアノマリーが存在します。
夏季休暇シーズンの影響で、リスクオフ的な動きが強まりやすいことが、原因として挙げられます。
具体的には、スワップポイント狙いで建てた「円売り・高金利通貨買い」のポジションを投資家が決済することで、円買い圧力が強くなりやすいです。
7月は流動性が低下して、為替市場のボラティリティが高まりやすいので、値動きの急激な変動に注意しましょう。
9月から11月は円安・ドル高になりやすい
9月から11月に円安・ドル高になりやすいのは、年末商戦に向けた輸入企業のドル買い需要が高まることが関係していると言われています。
輸入企業は海外のものを仕入れるときは、円をドルに替えて購入するケースが多いです。
輸入企業のドル買い・円売りの取引は1年中行われますが、年末商戦に備える時期にはドル買い取引が増えやすいです。そのため、9月から11月のドル円は上昇しやすくなります。
アノマリーを考慮してトレードしよう
アノマリーで値動きの傾向を知ることで、今までよりもトレードの勝率を上げることは可能です。
とはいえ、アノマリーは万能なサインではなく、ダマシにあうこともあります。あくまで判断材料の一つとして冷静に活用することが重要です。
テクニカル分析やファンダメンタルズ分析と組み合わせることで、より根拠の強いトレード戦略を立てられるようになるでしょう。
この記事で紹介したアノマリーをヒントに、判断の精度を高めるための材料として、さまざまなアノマリーを活用してください。
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