投資を始めようと調べていると、「投資信託」と「ETF」という言葉をよく目にすると思います。どちらも初心者におすすめとされていますが、具体的な違いがわからず困っている人も多いでしょう。
この記事では、そんな悩みを解決するために、投資信託とETFの基本的な違いや、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。
最後まで読めば、両者の特徴が明確になり、ご自身の投資スタイルに合った商品がどちらなのか、自信を持って判断できるようになります。自分にぴったりの投資対象を選びましょう。
投資信託とETFの違い
投資信託とETFの最大の違いは「上場しているかどうか」です。その他にも、以下のように特徴が異なります。
投資信託 | ETF | |
---|---|---|
上場について | 非上場 | 上場 |
購入場所 | 証券会社、銀行、 郵便局など | 証券会社 |
取引タイミング | 1日1回 | 取引時間中に即時取引が可能 |
最低投資金額 | 100円〜1,000円程度 | 1,000円〜数万円程度 |
一般的な 手数料の傾向 | 年間の管理費用:高め 購入時の手数料:無料 | 年間の管理費用:安め 購入時の手数料:有料 |
銘柄数 | 約6,000 | 約370 |
分配金の 自動再投資 | 可能 | 不可 |
信用取引 | 不可 | 可能 |
上記の特徴について、わかりやすく解説します。
投資信託は証券会社以外でも購入できる
投資信託は銀行や郵便局といった身近な金融機関でも購入できますが、ETFは証券会社でしか購入できません。なぜなら、ETFが株式と同じように、証券取引所に上場している商品だからです。
投資信託は、より広い窓口で扱われています。人のサポートを受けながら安心して投資を始めたい方にとっては、助かるでしょう。
ただし、銀行や郵便局、実店舗の証券会社で投資信託を購入すると、ネット証券よりも取引手数料が1%以上高くなる場合もあります。
ネット証券は手厚いサポートを受けられないため、取引方法や投資の基礎知識は勉強する必要があります。最初は勉強するのが大変ですが、投資期間が長くなるほど手数料の差で投資成績が大きく変わるので、ネット証券を利用しましょう。
ETFは1日に何度も取引できる
ETFは上場しているため、証券取引所が開いている時間内であれば、好きなタイミングで何度も取引できます。
一方で、投資信託の購入価格である「基準価額」が決まるのは、1日1回だけです。基準価額は取引日の夕方以降に発表されるため、今いくらで買えるのか事前にわからないという特徴があります。
値動きを細かくチェックして、柔軟に取引したい方にとっては、ETFのほうが魅力的に映るかもしれません。
投資信託のほうが少額から購入できる
投資信託なら、多くの金融機関で「100円」や「1,000円」といった、少額から投資ができます。
毎月少しずつコツコツと積み立てていく、といった資産運用がしやすいのは、投資信託の大きなメリットといえるでしょう。
ETFも千円程度から購入できるものはありますが、投資信託ほどの少額から始められる商品は限られています。
まずは投資を体験してみたい、という初心者の方には、投資信託のほうが相性がいいでしょう。
長期保有はETFのほうが手数料が安い傾向にある
結論からいうと、投資信託やETFを長期保有する場合は、ETFのほうがトータルの手数料を安く抑えやすい傾向にあります。
保有期間中に継続的に発生するコストである「信託報酬」が、投資信託よりETFのほうが一般的に安いからです。
年間で0.1%未満の小さい差であったとしても、20年以上の長期間保有を続けた場合は、ETFのほうが数十万円以上も利益が多くなる場合もあります。
ただし、有名な投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」のように、信託報酬が年間0.06%未満と、ETFよりも安いケースがあります。投資をする前に、必ず信託報酬を確認しましょう。
取引手数料に関しては、投資信託は無料なことが多いですが、ETFでは有料の商品もあります。そのため、短期間で取引を繰り返すと、取引手数料の分だけETFのほうが手数料が割高になるケースが多いです。
銘柄数は投資信託のほうが圧倒的に多い
2025年8月現在、国内で購入できる投資信託が約6,000本あるのに対し、ETFは約370本程度となっています。
これだけの違いが生まれる理由は、投資信託のほうが歴史が長く、さまざまな運用会社が多種多様な商品を提供してきたからです。
そのため、投資信託のほうが、「AIや環境などの特定のテーマに投資してみたい」といった、こだわりのある投資方針に細かく応えられるでしょう。
とはいえ、初心者の方には、多くの選択肢がありすぎると混乱してしまうかもしれません。その場合は、多くの人が投資している「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」などの、基本的な投資信託がおすすめです。
投資信託は分配金の自動再投資ができる
投資信託の便利な機能の一つに、運用によって得られた利益である「分配金」を、自動で再投資に回してくれる仕組みがあります。
自動再投資の仕組みを利用すれば、分配金が支払われるたびに、原則手数料無料で同じ投資信託を自動的に買い増ししてくれます。
この仕組みの何がすごいかというと、複利の効果を最大限に活かせる点です。複利とは、利息がさらに利息を生むことで、雪だるま式に資産が大きくなっていく効果のことです。
ETFでは、分配金は一度現金として受け取るため、再投資したければ自分で改めて買い付けを行う必要があります。また、ETFで再度同じ商品を購入する際には、取引手数料がかかる場合もあるのが難点です。
「面倒なことは抜きにして、効率よく資産を増やしたい」という方には、自動再投資機能は助かるでしょう。
ETFは信用取引ができる
ETFは上場しているため、株式と同じように、「信用取引」が可能です。信用取引とは、証券会社からお金や株式を借りて、手元にある資金以上の金額で取引を行うことです。
ただし、信用取引は大きなリターンを狙える反面、予測が外れた場合には大きな損失につながる可能性もあります。そのため、投資上級者向けの取引方法といえるでしょう。
また、価格が下がると予想した際に売りから入り、価格が下がったところで買い戻して利益を狙う「空売り」といった戦略も取れます。投資信託では即時取引や空売りができないので、取引の柔軟性という観点ではETFに劣ります。
投資に慣れてきたら「もっと積極的な取引にも挑戦してみたい」と思うかもしれません。そういった場合に、さまざまな取引ができるのはETFならではの特徴といえるでしょう。
投資信託とETFのどちらに投資するか迷ったら?
投資信託とETFのさまざまな違いについて解説しました。しかし、どちらに投資すればいいか、まだ迷っている方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、それぞれどのような方におすすめなのか紹介します。ご自身に当てはめながら読み進めてみてください。
投資信託がおすすめな人
少額からコツコツと資産形成を始めたい方や、運用の手間をなるべくかけたくない方には、投資信託がおすすめです。
投資信託には、以下のような特徴があるからです。
- 100円や1,000円といった少額から始められる
- 銀行や郵便局など、身近な金融機関でも購入できる
- 分配金を自動で再投資してくれる
「難しいことはよくわからないから、手軽に始めてみたい」という、投資初心者の方には、投資信託はぴったりの選択肢といえるでしょう。
ETFがおすすめな人
できるだけ手数料を抑えて長期的に運用したい方や、自分のタイミングで柔軟に取引したい方には、ETFがおすすめです。
ETFには、以下のような特徴があるからです。
- 信託報酬が安い傾向にある
- 取引所の時間内なら、いつでも取引できる
- 信用取引や空売りができる
腰を据えて長期保有したい方にはETFが相性がいいでしょう。柔軟な取引ができるのもETFの魅力ですが、信用取引や空売りはリスクが高いので、初心者にはおすすめしません。
まとめ
投資信託とETFの最大の違いは、「証券取引所に上場しているかどうか」という点でした。
この違いによって、購入できる場所や取引のタイミング、商品の種類など、多くの違いが生まれることをご理解いただけたかと思います。
どちらか一方が優れているというわけではなく、それぞれにメリット・デメリットがあります。どちらもNISA口座に対応している商品は多いので、決められない場合は両方に投資することも検討してください。
この記事を参考に、自身の投資スタイルや価値観に合った商品を選び、後悔のない投資をしましょう。
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